インターモーダルとITS(No.4)
交通データの標準化

○中村 実はWG8というのはヨーロッパが全然参加しないワーキングでして、ヨーロッパはどうしているんだろうと調べていくと、ECの中には、ご存じのようにCENという別のものがあります。これはヨーロッパの中の標準化の委員会ですよね。こちらのワーキングさんではトランスモデルというのをやっている。
 それで、3年ぐらい前にはどういうことを言っていたかというと、ヨーロッパでトランスモデルをやっている人をお呼びして、TCIPと併せて1つのものにして、世界標準にしよう、こういう話をしていたんです。それで1度会議にトランスモデルの方が来られて「うちはこんなことをやっている」という話を聞かせてもらいました。これが3年前です。そして、TCIPとトランスモデルはそんなに矛盾はしないから、この2つをハーモナイズしようという話を進め始めたんですが、これが全然進まないんです。それで結果的に、アメリカはTCIPを国際標準にして、トランスモデルが出てきたら、僕の理解では、簡単に言ってしまうとマイクロソフト・ワードを国際標準で出して、後から一太郎が出てきたら変換ソフトをフロッピーで配ればいいという発想になっています。
 では、そのトランスモデルというのは何かというと、どうもよくわからないので、たまたま国土交通省で年度末に、呼びました。私は細かいことはわからないつもりですけれども、リファレンスモデルという形式をとっていて、例えば「バス停」と「バス系統」がどういう関係になっているか。「バス系統」というのは両端にバス停があって、途中にもバス停があって、こういうルールづけをずらっとつくるんですよね。それをどんな書式で書くか、それは好き勝手にやってくれと。
 実際これは今、ハノーヴァーとザルツブルグとリヨンと、3つの都市でデモンストレーションをやっているんですけれども、それぞれの都市で、具体的な通信の細かいところは全然違います。ただ、定義づけのルールは全部揃えているんですね。これをやっておくと、実際リヨンであったんですけど、このプロジェクトの進行中に新しくトラムをつくったときに、トラムの情報を入れたら全体の情報のメカニズムがすぐに、スッと動いたと。これをアメリカ流にやってしまうと、多分トラムが入ってきたらまた何を書き換えて、かにを書き換えてということをしなきゃいけないんだけれども、トランスモデルはそれをしなくて済むというご説明をされておりました。
 とにかく関連づけだけをきちっとやっておけば、あとの細かいことはそれぞれの都市で落札した業者がやればいい話だという発想をされている。この違いをもう少し追っていくと、きっとおもしろいんだなと感じているのが今の僕の心境です。
 ただ、我が国を考えたとき、トランスモデル的な発想で、例えば鉄道とバスの乗り継ぎとは一体何なんだとか、そもそも乗り継ぎという意味で駅は何なんだとか、そういうルールづけをするような形の整理さえも、実は余りできていない。JRの駅と民鉄のバスの関係と、民鉄の同業者の鉄道とバスの関係はいろいろな意味で違いますから、そういうところさえできていない我が国でやっていくとしたら、やはりバス自体のいろいろな情報は確実にXMLになっていくような様子を今、持っていますので、そうしたら、その次にこの駅あたりのところでトランスモデル的なアプローチをするのがおもしろいかなと、最近、思い始めているところでございます。以上です。

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