座談会 インターモーダルとITS(No.10)
通信技術の未来 結節点としての駅2


○赤羽委員長 あるいは、現実の移動サービスを受けるためには駅まで行かなければいけないという意味で、コンビニと駅が同義になるのでしょうか。

○大口 この場合は、汎用語としての「駅」ですね。

○赤羽委員長 そう。実空間とサイバー空間をつなぐところという意味で。

○吉開 これなんかは今、成功している例だと思うんですけど、インフラをたくさん投資してどうのこうのという話があったものですから、それは投資しなくても、もっとユーザー側が発信する情報を使ったサービスを、みんなの情報をどう活用するかというやり方、アイデア次第でね。携帯というのもありましたし、ほかのものでもいいんですよね。

○赤羽委員長 そういう話を聞くにつけ、私が鉄道の人たちとやりとりしたときに意外に思ったことがあります。私は、自動改札がすでに何年も前から導入されているから鉄道の人たちはどの駅で何人くらい乗って、その人がどういうルートを辿ってどこの駅の下りたか、みんな把握していると思っていました。ところが、自動改札をそういう情報収集のために使っているという例は、余り多くないみたいですね。

○荻野 そうでしょうね。

○赤羽委員長 鉄道会社では、そういうシステム化のためのコストが正当化されないのかもしれません。要するに、どこからどこまで乗っている人が何人くらいいて、結果としてこの路線がどのぐらい混んでいるというようなことは余り関係ない。とにかく1時間なら1時間の間に、各駅間で発生するお客さんを、ホームで溢れさせないように運べばいい、ということでしょうか。

○荻野 そうですね、まさに先生のおっしゃるとおり、いわゆる切符というのはあくまでも、今の切符をIT化したんであって、例えば自動改札もですね。だから、切符なんですよ。

○吉開 そこをもう少し、何だろうな、乗車券というよりも輸送手段のIDのような形にできないんですかね。

○荻野 例えば、今回ちょっと広がりましたよね。僕も余り詳しくないんですが、普通A点からB点へ行くときに、例えば首都圏ならどこを通っても同じ値段ですよね。だけど本当はそうではなくて、どこを通るから幾らだ、もともとの切符はそういうものだったんですね。おっしゃるとおり、どこ経由の切符を買えばちゃんとトレースだし、そこから外れているとインチキですねということだったんですけど、今はもうわざとそういうものをなくしてしまって、入った、出たでいいよと。

○中村 首都圏はそうですよね。

○荻野 ええ。高崎ぐらいまでは、そうなっちゃったんですよね。どこへ行こうとここへ行こうと、それはあなたの勝手という感じになっています。わざと情報をなくして、情報処理が楽なようにかもしれませんけど。

○赤羽委員長 例えば、車から鉄道に乗り換えるときの一つの敷居に、下手な時間に鉄道に乗ってしまうとすごく混んでいる、乗ったことないから何時ぐらいにどのぐらい混むのかよくわからないということがあります。それが経路とか運賃とかダイヤとかの案内と一緒に自分のものになると、普段は車を使っている人も「じゃ今度は鉄道を使ってみようか」という気になると思うのですが。

○吉開 多分、先ほど先生がおっしゃったように、サードパーティが始めるんじゃないかというのは、もう全くそうだと思いますよ。放っておいても多分やりますよね。

○赤羽委員長 と思うんですけどね。

○荻野 まさにおっしゃるように、我々が位置を物すごく気にしているのは、トレースしたいんですね。どうやって行ったかを結果としてトレースできますから、それによってチャージもできるわけですよね。別にどこどこに入ったとか何とかいうより、ちゃんとトレースしたか。だから我々の理論は、「A点からB点へ行きたい」「では、こう行ったらどうですか」とまずご案内をいたしました。そうしたら、今度はそのとおり行っているかどうか、運行がうまく行っているかどうか確認しながら、ちゃんと案内いたします。ここまで行って「ここは混んでいるようだから、乗り換えてこちらから行ってください」とか、そういう案内をします。それで、最初の契約に基づいてご案内したとおりお客様がトレースして旅行を終えました、ですからお金をいただきたい、そんな感じに変わるべきじゃないか、そんなイメージですよね。 そういうことなので、ちょっと位置を把握したいなと。そうでないとなかなか、いわゆる徹底的にやってみたいなという気があったんで、そこが。ただし、現実問題とすると、やはり今の切符を置き換えたりとかですね、途中がよくわからないけれども発点と着点を押さえればいいじゃないかとか、そういうふうにはなってくるかもしれませんよね。
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