座談会 インターモーダルとITS(No.14)
官の役割、民の役割2


○赤羽委員長 私は以前に○○○沿線に住んでいたのですが、夜10時ぐらいに帰ると車両は満杯なんですよ。その中には酔った人もたくさんいる。何でこんなに混んでいるんだと思うと、それは明らかに朝のピーク時間帯よりも運行本数を減らしているからなのですよね。朝のピーク時間帯と同じ本数を運行していたら、スカスカのはずです。それを運転しないというのは、やはり詰め込んだ方が、経済的には効率がいいからでしょう。

○大口 別の路線では、途中の駅でわざわざ長さの短い車両を準備しておいて、乗客に車両を乗り換えさせたりしている例もありますよ。

○中村 別に○○○の肩を持つわけじゃないんですけれども、1つはね、そういうデータはないんですよ。だって、データないじゃないですか。そんな時間帯ごとのODなんか誰も調査していないんですから。

○赤羽委員長 それが問題ですね。

○中村 これはバスも同じなんだけど、電車がダイヤ改正するのは、問題が起きたときがまず基本なんです。問題が起きたところを変えるんですよ。白紙ダイヤ改正はときどきJRさんもやるけれども、おっしゃったとおり本当にフローのデータが全然ないから、何をどうするとどう変わるという予測もなかなかできなくて、この間まで故小渕首相のもとでやっていたような将来計画のときには配分まで全部きちんとやるけれど、現業の方々のダイヤ改正の発想というのは全然レベルが違うんですよ。
 だからポイントは、まずデータがない、分析しないし、する気がないし、できないし、そこがこういうことでデータ化できる。それで、例えば汎用のソフトウェアでもあれば「A列車で行こう」並みのことができるようになる。そこがまず1つですよね。

○赤羽委員長 でも、鉄道会社にしてみると、そんなデータを集めたら、もしかしたら、自分たちのサービスが悪いから追加投資しなければいけないということがはっきりしてしまう羽目になるかもしれないですよね。それは直接的に動機づけされてはいないのですが、もしかすると例えば携帯電話のいろいろな双方向通信機能、トラッキング機能を使うと、この電車にこれだけ詰め込まれているということまで測れてしまうかもしれない。そうすると、民間のサードパーティがその情報を握って、○○線はこんなに詰め込んでいるとか、△△沿線は余り住まない方がいいとかいうような情報がオープンになってしまうのではないでしょうか。

○中村 そういう時代も間もないと思います。

○赤羽委員長 その方が健康的ですね。

○中村 例えば、規制緩和になってくると深夜のバスが増えてくるので、僕は着席のバスでやったら稼げると思うんですよ。小田急線とか京王線、新宿に10時ぐらいにつけておいてね。今は規制があるから小田急線の沿線は小田急バスしか入れないからできないんだけど、私、そのうち失業したら自分でバス買って、10時台につけておいて、電車よりちょっと高いお金とって座らせてピューッと行けば、すごく稼げますよ。

○赤羽委員長 みんなが中村さんのことを知らなくても、携帯電話でそういう運行をしているという情報を流せば、どうですか。

○中村 ただ、そういう対抗馬も社会の条件からできつつあるから、対抗馬ができると分析の意義が出てくるわけですよ。今は、極論すると、幾ら電車を減らしたって駅員さんに苦情が来ないレベルまでであれば誰も困らないんですよね。夜は人件費高いですから、運転手さん。

○大口 僕は自宅から大学に行くまで電車4本、4事業者に乗らなければいけないのですが、そうすると単純に接続だけ考えても3回あるわけですが、駅に降りた瞬間に次の電車が発車してしまうようなことがよくあります。それはどちらの事業者に文句言ったらいいのか。どちらにも文句言いたいけれども、事業者側も相手の事業者のあることですので文句に対処しようがない。終電だけわざわざ待ってくれるのに、なぜ終電以外は待ってくれないのだろうかと思います。
 それで、先ほど情報がないという話がありましたけれども、事業者側にそういう時刻調整のようなことを求めるよりは、双方向的に、利用者が発信側になって事業者側を動かしていく、結果的に動いていく、というような何かそういう動きがうまく転がるようになると大分違うのだろうと思います。
 今はどこかへ訴えかけて、お上に当たる事業者に何かしてもらうという発想しかないですが、そうではなく、ボランティアという程ではないですが、(自分達で状況を動かしていくような)そういう気持ちが形成されるようになると、大分社会の枠組みは変わります。

○吉開 NPOと言われる事態はまさにそれで、もう活動、いろいろなものがありますからね。特に今おっしゃっている業務、やっていてもおかしくないですよね。

○赤羽委員長 いや、そんな場はすぐにできますよ。「○○沿線利用者友の会」とかいうホームページを立ち上げて、いろいろみんなで文句言って「そうだそうだ」とか言って、こんなに何件も集まっていますと鉄道会社の人に見せたら、でも大変なことになるんじゃないですか。

○中村 そういう利用者の声を1つ土台にして、こういうアイデアに意義があるというのをやるのは、もしかしたら事業者のインセンティブになるのかもしれません。今は声が届かないですよね。

○赤羽委員長 そういうことでしょうか。

○中村 動機づけのいいやり方かもしれません。

○赤羽委員長 インターモーダルな情報システムというのは、ただ単に乗り換え案内とか経路案内だけではなくて、そういうサービスに関するいろいろな主体間の様々な情報のやりとりも含まれるんですかね。

○吉開 多分、本当のインターモーダルサービスに使えるものにならないんじゃないですかね。
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