座談会 インターモーダルとITS(No.19)
情報公開とビジネスモデル2


○荻野 まさに私どもが考えているようなことを言っていただいたんですけれども、やはり我々が「こっちがショートカットだから、みんながこっちを使うだろう」と思っても、ところがどっこいというときがよくありますよね。ハードウェアの場合はもとに戻せませんから、そういう一種のシミュレーションを社会的にやってみる。特に最近は環境問題とか何かがあって、樹海の中にバーッと道路をつくっちゃった。ところが余り使わないし、どうもこれは不評だったからといったって、もう切り開いてしまったところはだめだとかいう議論もあるわけです。それは極端にしても、やはりソフトでそれに似たようなものをつくってみて、それはバーチャルかもしれませんが、その中で「なるほど、需要がそっちに行くな」とわかってみんなも安心して投資できるということになったら、同じ道路投資でも違いますよね。

 今の道路投資の議論は、いわゆるキツネとかタヌキしか歩いていないところに道路をつくるのがおかしいという話であって、たくさん人が歩いているところだから拡幅します、道路をつくりますというんだったら誰も反対するはずがない。別に道路をつくっちゃいけないと言っているわけじゃないですよね。使わない道路をつくっちゃいけないというわけですから。

 そのためには、やはりソフトウェア的な、それはもちろん、僕自身もソフト屋ですからというか、まず情報へ持っていきたいというのは当然あるわけですけど、でも、例えば最近、鉄道でも直行列車が増えていますよね。国鉄時代なら到底なかったような、とんでもない所からとんでもない所へ行く。やはりあれは、そうは言いながら、いわゆるODをちゃんと測ってやっているんじゃないかと思いますですよ。それはそれなりに。だから、多分自動改札が入ったことによって、そういうデータはある程度とれているんじゃないかという気はいたしますけどね。

○中村 ちょっと話がそれるかもしれないんですけど、動機づけと不確実性で思い出したのは、インターモーダルというのは公共交通と自動車という部分と、公共交通事業者同士いう部分と両方あると思うんです。基本的には事業者同士も全然だめなんですけれども、ところが、札幌が一番進んでいるんですよ。なぜ進んだかというと、あれだけネットワークを持った 100万都市であれだけ雪が降ると、やっぱりすごいことになるわけですね。雪が降ったときに苦情が来たら大変なことになるわけです。その苦情を来させないためには、ここのバスはこう動いている、ここは動いていない、この道路はこうだというのをバス会社と地下鉄とJRが集めて出せばいいということに皆さん気づいて、当初はそれを電話センターレベルでやっていたんですよ。それが4〜5年前かな。それがこの冬はそれぞれがXMLで情報を出していって、私はよく知りませんけれども、そういうページを1つ用意しておくと、出せば届く。だから、ニーズがあるところはインターモーダルは進んでいるんだと、今、思い出しました。

○羽藤 雪が降ると不確実性が高くなるということですね。

○中村 そう。雪のときに情報の価値がぐんと上がるわけです。それで思い出したのは、僕が横浜でバス系を、一応世界で初なんですが、インターネットに載せたときも、普段の利用は全然ないんですけれども、雪の日だけボーンと上がるんですよ。やはり皆さん情報の価値を真面目に考えて、本当に欲しいときには欲しいところへアクセスして見るんですよね。ところが、普段はバスなんかどうでもいいから、そんなものいちいち見ないわけですね。

 だから、そのパワーのメカニズムをうまく誘導すると、動機づけというのはいろいろな戦略があり得るんだろうなと思ったんですよね。


○羽藤 僕は、やっぱりそこの部分はインフラだと思います。それが提供された上で何かサービスが生まれていくというのは違うんだけど。

○赤羽委員長 ですからね、そのインフラをどういう形で整理するかというところが、それはそれでインターモーダルにも適用できるような形でというところまでは、なかなか考えられていないんですよ。
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