座談会 インターモーダルとITS(No.27)
情報と移動2


○吉開 そうなんだけど、もう「やっていない」なんていう時代じゃなくて、おっしゃったように、まずやっちゃうことじゃないかと思うんですよね。頭の中で考えていても、もう多分、進まないんじゃないですか。ドキュメントだけはあっちこっち山のようにできていると思うし。
○吉開 道路と鉄道でどっちがインフラをつくるのが難しいかというと、やっぱり鉄道の方が難しいんですか。その辺よくわからないんだけど。

○羽藤 鉄道でしょうね。

○荻野 制度という意味ですかね。どういうことになるんでしょうか。

○赤羽委員長 例えば線路の勾配やカーブの制約だとか、それからメンテナンスがついて回りますよね、つくった後にも。

○荻野 ですけど、もともとは鉄道の方が本当は安いですよね。土の上に枕木を置いてレールを敷いて、そこだけ舗装しているわけですね。だから多分、発生からすれば鉄道というのは、きっちりした道路をつくる技術がなかったころにレールを、レールもあんなレールだったかよくわからないんですけど、何かやって、そこだけ舗装してやったということですから……。

○中村 ただ、どこまでが道路かというのはありますけれども、車が走り得るすべての道路のネットワークと鉄道のネットワークでは全然密度が違うし、鉄道を道路と同じようなネットワークにするのは物すごく大変で、簡単に言うと、交差点というのはどこでも曲がれますけど、鉄道はそう簡単に曲がれませんから、そういうことまで考えた意味では、鉄道というのは面的な整備には向かない。線的な整備に向いている。

○荻野 そういう意味からすると、鉄道の場合は必ずシステムにしないとだめなんですよ。道路は、変な言い方しますけど、つくっておけば個人が勝手にやってくれますから、そういう意味では楽なんじゃないですか。

○大口 道路にはそうした多様性に意味があります。だから、道路の機能を特化していこうと思うと、「せっかく鉄道があるのに何でわざわざ道路の機能特化が必要なのか」という議論になる。自動運転に関しては、まさにそういう話です。 ただし一方で、ある条件を満たすものは今のITSの方向性で実現させる方が、新たな選択肢として望ましい場合も確かにあります。ディアルモードの話など、いろいろありますから。デュアルモードは道路か鉄道かと言えば、ある意味で鉄道的な発想を道路でやるような世界ですよね。ですから、何かそういうモード(交通機関)の選択肢が増えることによって、インターモーダリティというよりはマルチモーダル化していく、という意味で意義があるでしょう。

○荻野 それから、鉄道の場合は高速というのは1つありますよね。 300km/hで安定して走る。リニアだと 500km/h。それは、やっぱり道路ではかなりのプロでないと無理でしょうから。

○吉開 長距離で大量のものを安く運ぶ一番いい手段が鉄道だと思ったらいいんでしょうかね。

○荻野 今まではそうだったんじゃないでしょうかね。

○大口 要するに、鉄のレールと鉄の車輪で動かすのと、舗装とタイヤで動かすということの物理的な違いが鉄道と道路の本質的な違いです。そこに必ず棲み分けが生じるのではないでしょうか。
BBS投稿コーナー



Copywrited by Japan Society of Traffic Engineers