2 インターモーダル交通情報の可能性

○倉沢 交通情報と言った時には道路交通情報はすぐ思いつきますが,我々が乗るものは道路の車だけではないので,他にも,電車の情報,飛行機の情報,船の情報,それぞれの乗換え時間,乗換え駅や空港や港の中の歩く時間,切符を入手する時間など,移動の時間と移動手段に関する情報があると思います.インターモーダル情報というとそれぞれの情報を組合わせる話で,ITSの文脈では車から公共交通へ乗換えるパーク・アンド・ライドの話がよく言われていますが,実際には,お互いのメリットを生かす部分と,まともにかち合う場合と両方があります.
 利用者側にとってメリットがあることが一番大事なのですが,民間企業の場合には出したい情報と出したくない情報があって,こうした供給側の論理も一応あるので,メディアで流す広い意味のコンテンツ,まず交通情報そのもののミックスについて考える必要があると思います.また,それぞれの扱う交通情報の仕様や規格の問題もありますが,むしろそれぞれの情報がどれほどリアリティがあるか,間違ったときの責任はだれが取るか,ミックスされた情報の場合の責任問題なども整理しておかなければいけないでしょう.
 例えば,かつて鉄道が相互乗入れをしていても切符を買いかえなければいけなかったものが,この問題をクリアする幾つかの道具が出てきて電車利用が促される1つのきっかけになったのだろうと思います.ですから,今後車に差し込むICカード注(4)と携帯電話に差し込むICカードの共通化で幾つかの決済機能を共通化できる技術が出て来て,各種のICカードがそれぞれの機能を持っていると,「どうして共通化できないのか」という不満が利用者から出てきて,それがたまたま技術的に解決できるのであればそれもこれも全部使ってしまおう,あるいは使ってもらわないことには,所謂インターモーダルな世界には到達できないでしょう.
 要するにインターモーダルの本質は,広い意味での切符というか,「車の鍵」としてのICカードにどれだけの機能を持たせるかが問題なのです.技術としては日進月歩で,今や何十円,何百円でオールマイティな鍵を作ることが出来ます.ICカードを振りかざせばきちんと決済もできます.技術的なことはわかりませんが,この「1つの鍵を持ってもらう」ことを起点にして,幾つかの制度がなし崩し的に変化するような社会の流れになればいいと思います.ICカードが利用者にとって有用だということを,ITSに関してももっと早くアピールするべきではないかと思います.

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