7 「気の利いた」情報は只では作れない

○中島 実はこれまで述べたことはi-modeでほぼ実現できます.i-modeで行きたい店,食べたい店,買いたい店,は検索できる.i-modeは検索ができて画面もカラー化していますが,これが大型化して例えば「ポタ」のようなわかりやすい地図情報が載せられればこれで間に合うことになります.だからエリア情報誌の今後は紙媒体としてはなかなか難しいところもあり,これから大変だと思います.ともかくコストが非常にかかります.また「ポタ」は首都圏で出したわけですが,これを全国展開して点と点をつなぐような展開をして,共有できる情報は共有化しないとなかなかビジネスになりません.さらにエリア情報誌は近場の情報だけで金はかからないように思えますが,実は大変にマンパワーがかかります.1件のお店を取材するのに,予備取材で普通の情報誌よりも何倍もお金がかかります.
 例えばてんぷら屋でもおいしい店を探すのに事前に膨大な予備取材でマンパワーが必要です.その上地図情報作成や様々な情報のデジタル化(デジタル地図にレイヤーを多くすると汎用性が高くなります)にも多くのマンパワーが必要です.さらに「ポタ」のお店情報はホームページに掲載していますが,このホームページ製作にも膨大なマンパワーが必要です.ユーザーにとって非常に検索しやすくて便利なデジタル情報を載せる工夫にも莫大なマンパワーが必要です.今後ホームページを製作するビジネスも,かなりアナログのマンパワーと実際に「使えるデジタル情報」を作り上げることとのギャップは非常に問題になるだろうと思います.
 ITSに関連して「ポタ」の場合に即して言いますと,近い将来非常に便利なわかりやすいカラーのデジタルマップがi-mode端末で見られて,ユーザーは使いやすくなるだろう思いますが,その場合にも,やはり最初に言った原点,ユーザーの目線や日常感覚,日常的に使っているランドマークや方向感覚,東西南北ではなくて進行方向のどちらか,という感覚が重要だと思います.車の場合でもビルの名前は役に立たないとか,ドライバーの目線で目につくランドマークとか,こうしたデジタルマップに載せるべき情報,実際の日常感覚で使えるコンテンツ情報の作成が重要な課題になると思います.現状ではこのあたりが意外とステレオタイプで,相変わらずビルの名前がランドマークになっているように思います.私がいわゆる情報誌の編集をしていて一番重要であったポイントは,これからのいわゆるITSの世界でもとても重要ではないかと思っています.

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