16 情報収集のいろいろ...

○森川 先ほど私は敢えて変なことを言いましたけれども,やはり「人」ではなくて「車」であることが重要だと思います.Nシステムはまさに人のプライバシーが問題になるわけで,ITSでも究極的には個人が携帯端末を常に持っていて,必ずしも車で移動する必要はないので人の交通や交通機関の状態に関する情報を集める話になるでしょう.従って車ではないのです.そうすると,車が持続可能な社会に対してかなり問題があるならば,その車だけをモニタリングや適正なプライシングをすることが必要なわけです.人の移動と車の移動を分離して考えなければいけない時代が近々来るだろうと思います.また,大きな車やクラッシックカーのファンのような人でも,どうぞ運転してください,そのかわりそれなりの対価は払ってください,ということにならざるを得ない時代がもうじき来るでしょう.

○中島 車そのものが移動する情報端末,という位置づけですね.その移動する情報端末からいろいろな情報にアクセスできるという認識は,一般のユーザーでも結構わかりやすい考え方です.車自体が情報端末で,自分は移動しながらそこでいろいろな情報を取ることができる.発信もできるし,移動する目的に合ったいろいろな情報にもアクセスできるわけです.

○森川 車が発信する情報と,人が車を通して発信するいろいろな情報,つまり行った先でここの料理はおいしかったというような情報と2種類あるように思います.

○中島 i-mode端末がそうであるように,移動する自分の視点の道具になっているわけですね.

○倉沢 何を使って発信するか,も重要ですが,入力インターフェースとして,音声入力や文字入力データだけでなく,映像も結構重要な情報だと私は実は思っていまして,地図の話もありましたが,CCDカメラを車か携帯電話につけて,地図情報として映像でうまく見せることが,車と車同士の情報のやり取りや人を誘導する情報の一つになると思います.つまり道路や建物や別れ道の絵が遠近法で示されて,これに作られた画像で矢印で方向を示したり目的の場所を指したりする.「僕はここにいる」というような映像を瞬間に見せるような発信ができるようになるだろうと思っています.ですから,ナビゲートする情報として今後静止画は,割と有用な可能性があると思います.

○赤羽 そういう映像端末と電子地図とGPS注(22)がついたら,デジタルコンテンツをつくるマンパワーは,相当小さく,効率的にできませんか.

○中島 入力するところはアナログですから,入力にマンパワーがかかって難しいです.

○赤羽 入力というのは,例えば「ポタ」のような情報雑誌の記事で言えば,記事内容を入力する部分ですか.

○倉沢 まず,その取材してきた内容の文章をつくるという作業があります.

○赤羽 それは極めて人間的な作業ですね.

○倉沢 さらに,それを読みやすい形にするデスクの方の文章のノウハウや「ポタ」の地図のように地図を見せる向きに関するノウハウも当然あるでしょうし,さらに何とも言葉で表現できない,書く事の出来ないノウハウもやはりあって,たとえば雑誌の紹介記事に載せる写真の光の当て方などもそうでしょう.またそもそも店に行って鍋を撮影しないと雑誌にならないわけで,そこにもコストがかかっていて,ロボット人間にはなかなかできないことでしょう.

○中島 デジタル化するまでに膨大なマンパワーがかかっているのです.

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