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18 統合ICカードへの期待 ○赤羽 今は天気予報が確率予報という形式で相当の精度で提供されている．あれはアメダスという情報収集装置で全国をカバーして，それできちんとコンピューター・シミュレーションをやっているからです．情報収集なしに，ああいう質の高い情報は提供できません．○大口 現在では交通管理者か道路管理者が持っている交通情報しかないのですが，実は例えば携帯を持って歩いていれば，いつの間にかどこのアンテナ範囲を通ったのか分かってしまうわけで，こうした民間情報も一種の交通情報と言えます．だから，これまで交通管理者か道路管理者が持っている情報しかないと思っていたから交通情報は官側からしか提供されなかったのですが，ちょっとした仕組みをつくってやれば，ひょっとするとこれまでの官の枠組みと関係なく交通の情報を作ることのできる可能性があるのです．官の情報と民の情報がうまく共存できるのであれば，そういうやり方もあり得るでしょう． ○森川 ICカードを社会インフラ化することになると，車だけではなくて公共交通機関でも全部共通ICカード化すれば，それだけで交通の情報が分かるようになります．そうすると携帯電話で本当に自分のパーソナリティーとすべての移動がわかるのはかなわないけれども，少なくとも車の移動情報と公共交通機関を使った移動情報だけは，自分のパーソナリティーと切り放して提供してもいい，そのかわり面倒くさい交通調査は堪忍してくれという，そういう風になるのかもしれません． ○倉沢 ICカードのICチップが１個にIDの情報が入っていてこれにアクセスすれば情報が分かるのですが，今ICチップはどんどん小さくなっていまして，カード１枚にチップを50個入れるようなことがコストもそれほどかからずにできるのだそうです．だから，隣のチップ同士の受け取る周波数を変えると，例えばJR東日本はあるチップは把握できるが隣の東急電鉄のチップは把握できない，ということができるらしい．そうすると，とりあえず都内の電車が全部乗れるICカードを作るのはそれほど難しくないのです．技術で可能だからという話は余り好きではないですが，実は案外と制度の部分はそこで乗り越えられてしまうように思います．どうも最近，ITSの話題で「鍵としてのICカード」という議論が低調なのが私には気がかりです． ○赤羽 ETCのICカードはコンタクトタイプですが，鉄道用に開発中のものはコンタクトレスタイプで，少なくとも外見的には互換性がないのだそうです．例えば愛知万博をいいきっかけにすれば，愛知県だけでもETCのカードと鉄道用ICカードを互換性のあるような運用はできないでしょうか．例えば，ETCの車載機からコンタクト型ICカードを引き抜いてパスカードに入れると，それがアダプターになっていてコンタクトレスとしても使える．それを持っていれば改札口もスッと抜けられるということです． ○倉沢 １枚のカードに非接触と接触の両方入れるマルチユースは可能だそうです．私は，そうした技術的な問題は克服できる気がしていますが，むしろその50個のICチップの情報中に国が含まれるのが楽しくない．国なのか，それが警察なのか運輸省なのかわかりませんが，だれだと許せて，だれだと許せないのか，ということは，きちんと議論をした方がいいと思います． ○赤羽 また，それぞれの交通機関を所管する各主体は，1人が1枚のICカードで全部済ませられるようにすることを実現するようには動機づけされる仕組みになっていないことが，別の難題です．例えば道路関係の公団が，ETCカードを鉄道でも使えるようにすることを考えるかどうかということです．彼らにとってのメリットを考え．これを推進するには，どういう人たちがどうしたらいいのかが問題かもしれません． ○森川 それで「例えば」ということで愛知万博あたりを契機に推進できれば良いきっかけになるだろう，とおっしゃっているわけですね．ちょうど2005年に愛知万博と中部国際新空港開港で，どちらの方もITSを目玉にしていますし，2004年にはITS世界会議を名古屋に誘致していますので，その前にフィールド実験をして，是非そうした携帯端末型と１枚のICカードで全部できるようなシステムをつくろうという，かけ声は上がっています． ○赤羽 是非，一般利用者の視点で，そうあるべきだという声を起こしてドライブをかけられればと思います． ○中島 ユーザーの利益から考えても，その方が全然楽ですからね．先程のホームページの無料プロバイダの例でも，利用者自身が利用して得することができで，この程度だったら情報開示も構わないというような運営主体だったら，ユーザー側から見ればほとんど問題ないわけです．納得づくならいいわけですね． |
