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生活道路の交通安全対策 Q&Aコーナー

 

1.ゾーン30とゾーン対策に関する質問

Q.1:これから「ゾーン30」対策を実施する場合、本マニュアルのどのあたりを活用するのが良いか。
A.1:ハード、ソフトとの組み合わせで効果があるため、ぜひマニュアルの全範囲を使用してほしい。
Q.2:海外の事例でも良いのでゾーン30の効果について教えてほしい。
A.2:欧州では1980年代からゾーン対策が始まっており、現在はかなりゾーン30が普及している。ドイツなどでは、ほとんどの市街地の区域にゾーン30が設置されている都市もある。事故の統計資料を見ると、ゾーン30が普及している欧州などの諸外国では交通事故死者数が少なく、日本と比較すると特に歩行者・自転車の死者数が少ないことから、このような施策の効果も現れているものと考えられる。また、埼玉県川口市の事例(マニュアル84ページ参照)では、対策前後で事故件数が16.9%減少している(埼玉県道路交通環境安全推進連絡会議:平成23年度第2回埼玉県道路交通環境安全推進アドバイザー会議資料)。
Q.3:ゾーン30の区域設定について、警察庁交通局通達で「ブロック」と「ゾーン」の概念が示されているが、この関係について説明願いたい。また、ゾーン設定はだれが行うのか(道路管理者、あるいは警察か)を教えてほしい。このときの手続き内容も知りたい。
A.3:まず、本マニュアルで示す「ゾーン」の概念は、生活道路の問題を解決するために「ある面的広がりを持つ地区」を対象とすることに留意いただきたい。その上で、「ゾーン30」の区域の設定方法の「ブロック」とは、2車線以上(片側1車線以上)の道路のほか、河川、鉄道等の物理的な境界で区画された範囲であり、ブロック内に生活道路以外の道路(例えば、車道中央線のある道路)が含まれることもあり得る。また、「ゾーン」とは、ブロック内において、生活道路が集積している区域であり、「ゾーン」内の道路は生活道路(1車線道路=車道中央線なし)に限られる。「ゾーン30」の区域については、警察が道路管理者や地域住民、自治体等と協議・調整して決定する。
Q.4:タイプ1道路(テキスト18頁)と外周道路の違いは、構造ではなく機能によると考えて良いか?
A.4:その通りであり、機能による。
Q.5:欧州ではゾーン30の施策がほぼ完了しているとのこと。欧州での施策展開にあたり、予算や市民の合意形成などの課題をどのようにクリアしたのかを教えてほしい。
A.5:ドイツの事例を紹介する。特徴的なのは市民がゾーン対策の導入に積極的であることである。子どもが安心して移動できること、居住環境の改善につながることを市民が認識していることが理由である。現在では、ゾーン30を導入していない地区の方が珍しいという見方をされるくらいである。ゾーン対策導入にあたり以前は日本と同様に、車での来店を期待する商業主との合意形成が困難であった。しかし、国内にゾーン対策が普及するにつれ、駐車場の存在や車でのアクセスのしやすさより、歩行者が歩きやすい方が来街者数を増加させるために望ましいと考えるようになってきた。BID(Business Improvement District(ビジネス改善地域))方式により、地権者(商業主)が地区改善事業の事業費を負担する例もみられるようになった。ドイツの都市マルルでは、1人あたり50円程度の標識設置費用を住民が支払い、また、小学生を含む住民が路面標示を描くなど、積極的な市民関与が見られ、市民の参加意識が高い。このような取組みの下、5年間でおよそ50区域においてゾーン30が設置されるに至ったという。

2.ライジングボラードに関する質問

Q.6:ライジングボラードを設置する際、配達などの物流関連車両の感知方式は、例えばICカードを付与する、人員を配置するなどいろいろな考え方があるが、どのようにすべきか教えてほしい。また、このような自動式ボラードでこれまで〈海外事例を含む〉運用上の事故などの事例を教えてほしい。
A.6:システムとして、トランスポンダ方式、カードをかざす方式の、大きく2つがある。海外の事例では、配達などの車を通過させるかどうかはその「まち」の選択による。今後、わが国にでも同様な判断が求められると考えられる。なお諸外国では、通行権を持たない追従車がボラードに持ちあげられる事故事例がある。欧州では、違反走行した人が悪いと考えるのが社会通念であり、管理瑕疵は問われない。最近は、このような事故を防ぐため、路面にセンサーを設置し、車両を検知するとボラードが上昇しないようにしている例が多くみられる。

3.ハンプの設置方法に関する質問

Q.7:ハンプ舗装の設置方法は、どのような種類があるのか。また、ゴム樹脂舗装の場合ハンプがはがれるケースが想定される。設置から概ね何年程度で取り替えが必要なのか教えてほしい。
A.7:代表的なハンプの舗装材料としては、アスファルト舗装、ゴム樹脂舗装がある。アスファルト舗装が材料費として一番安く、諸外国での導入事例もほとんどがアスファルト舗装である。しかし、サインカーブを忠実に再現する上でアスファルト舗装は、技能を要求する面がある。形状を再現するために例えばコンクリートで型を作る方法が考えられるが、これは設置時に設置位置の路盤、路床に十分な配慮がない場合には、アスファルト舗装面とハンプの間に不陸(段差)を生じる等不具合が出る可能性が大きい。形状の再現性や設置の容易さを考えるとゴム樹脂舗装が望ましいが、大型車が頻繁に通ると劣化の進行が早い可能性はある。なお、ゴム樹脂舗装のものは2004年に埼玉県で最初に設置された。今のところ問題は発生していない。普通車の通行には問題ないと思われる。
Q.8:ゾーン内でのデバイスの効果的な設置間隔について教えてほしい。
A.8:ハンプは連続で設置することが望ましい。その場合の設置間隔は50m程度までとする。20m程度で設置すると再加速音をほぼ完全に抑えられる。コスト面等から狭さくとハンプを組み合わせてデバイスを連続させることも考えられる。ハンプ1基の場合は、交差点手前で設置することにより、一時停止や徐行を促す効果が期待できる。ただし、速度の最も出る位置にだけハンプを1基設置すると、騒音や振動、再加速音が発生する恐れが生じるため、望ましくない。

4.構造要件に関する質問

Q.9:積雪寒冷地において実施された事例や研究について教えてほしい。
A.9:北海道帯広市柏林台地区の事例がマニュアルに掲載されている。また、過去において北海道札幌市豊平区月寒地区での事例がある。ハンプなどを積極的に導入した事例は、帯広市であり柏林台地区で導入したハンプの評判がよいことから、稲田地区でも導入するなど、施策が展開されている。これら地区におけるハンプの形状は、マニュアルに記載の形状であり、今のところ冬期通行上の問題点は聞いていない。また、シケインの構造要件も除雪車の通行が可能な事例を示している。この場合、除雪車としてグレーダーを用いるとハンプなどは除去されてしまうので、タイヤローダに除雪プラウをつけたものを用いることが重要である。
Q.10:「スムース横断歩道」として細街路との交差点部における歩行者通行部分を嵩上げした場合、車両が当該部分を横断する場合に道路交通法上の一時停止義務があるのか教えてほしい。
A.10:「スムース横断歩道」においては、路面標示されている横断歩道部分は車道であるので、道路交通法第17条第2項に基づく一時停止義務はない。ただし、当該横断歩道を横断し、または、横断しようとする歩行者等があるときは、道路交通法第38条第1項に基づき、横断歩道の手前で一時停止する義務がある。また、このように細街路との交差部の歩行者通行部分が嵩上げされている場合で、横断歩道の路面標示がない場合は、当該部分が車道であるか歩道であるかにより、道路交通法第17条第2項に基づく一時停止義務の有無が分かれるものと考えられる。このような場合における当該部分が車道であるか歩道であるかの判断については、例図のように歩道の縁石線による切り開き(巻き込み)部が明確に形成され、かつ、嵩上げされている細街路との交差部が縁石等により車道と区分されることなくすりつけられている場合は、当該交差部は基本的には車道と考えられる。ただし、現実的には、このように嵩上げされた交差部の形状(縁石等による区分状況やすりつけ状況)は多種多様であり、一律に判断することはできず、それぞれの交差部の形状により個別に判断する必要があることから、地元の道路管理者及び所轄警察署に確認・相談していただきたい。
Q.11:狭さくの対策を実施する場合、カラー舗装や外側線を用いたイメージ対策では、あまり効果がないのか。
A.11:イメージ対策より、ボラードや縁石等を用いた物理的デバイス対策の方が、効果の持続性がある。

5.デバイスの取扱いに関する質問

Q.12:物理的デバイスの法的な取扱いについて、教えてほしい。
A.12:ボラード(さく、駒止)等を道路管理者が「道路の附属物」として設置する場合には、道路使用許可は不要である。一方、道路管理者以外の者が、道路における工作物を設置する場合(フラワーポットやプランター等を使って狭さくにする場合や社会実験時等)には、道路使用許可や道路占用許可が必要であるが、許可に当たり、当該物件の種類、形状、設置方法等について個別に審査することから、事前に所轄警察署や道路管理者に相談していただきたい。ハンプは社会実験時に実験受託者が仮に設置する場合に、その形状、設置方法等により、道路使用許可や道路占用許可の対象物件となりうる。また、道路使用許可の対象物件でない場合でも、設置工事について道路使用許可が必要となる場合があると考えられる。道路管理者が道路整備事業として実施する場合には、ハンプは一般的には道路本体であることから道路使用許可の必要は無いが、そのような場合でも、実際に設置する場合には、区画線の設置や交差点付近での道路幅員の取扱いなども含め、警察等の関係機関と協議・相談をしていただきたい。

6.バリアフリー法、バリアフリー化に関する質問

Q.13:バリアフリー法(「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号))の重点整備地区と重なる場合、本マニュアルの内容と道路のバリアフリー構造基準(移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準を定める省令)との整合はとれているのかを教えてほしい。
A.13:バリアフリー法の重点整備地区とゾーン対策区域が重なる場合の構造基準としての整合性は、確保されている。道路のバリアフリー構造基準では、歩道のある道路を重点的に記述しているのに対し、本マニュアルでは歩道の無い道路も対象として重点的に記述している。交通の静穏化による住宅地等における歩行者の安全性確保は、このような地区でのバリアフリー化の第一歩であると考えている。
Q.14:「スムース横断歩道」の設置(ハンプと歩道の併用)にあたって、車いすの通行には都合がよいが、段差により歩道の縁端を認識する視覚障害者にとって問題が生じるように感じる。歩道縁端部の形成にあたっての配慮事項について教えてほしい。
A.14:「スムース横断歩道」などハンプと歩道の併用にあたっても、歩道縁端部の形状は視覚障害者誘導用ブロックの設置など、バリアフリー構造基準と同様の配慮が必要である。

7.ハンプの形状に関する質問

Q.15:ハンプの高さを低く設定することは、可能か。
A.15:ハンプの高さを低くした事例はある。しかし、安全性や効果の面から、ハンプの高さを10cmとすることを推奨する。

8.デバイスの種類に関する質問

Q.16:「生活道路のゾーン対策マニュアル」には、これまで記載されている「交差点シケイン」というデバイスが記載されていないが、この記載をしなかった理由について教えてほしい。
A.16:交差点シケインについて、これを否定しているわけではない。今回のマニュアルでは、シケインは道路区間でのデバイスとして位置づけている。このため、交差点シケインは、交差点狭さくに含まれるデバイスとして位置づけを変更した。このため、「交差点シケイン」という記述が無くなった。また、今回のマニュアルでは、過去10年程度の日本での導入実績を踏まえ、比較的導入例の多いものを中心にまとめている。過去3冊のマニュアルを否定したものではないので、今回のマニュアルに掲載されていない手法については、過去のマニュアルを参照のこと。なお、当研究会発行の「平面交差の計画と設計−応用編−2007」に、くい違い交差点に関する考え方が示されている。生活道路の交差点において、計画・設計の工夫によっては、効果をあげられるものと考えている。デバイスの導入にあたっては、地元市民、関係機関との十分な協議の上、検討を進捗させほしい。

9.時速30km規制の妥当性について

Q.17:車輌の時速30kmは安全な速度と言えるのか。時速20kmであれば衝突しても大丈夫と感じるが、時速30kmでは無事で済むとは考えにくい。
A.17:衝突時の車輌速度と歩行者が致命傷を負う確率を調査した結果、時速30kmまでは減速による効果が大きいことや(時速20kmの同確率は大きく変わらない)、交通の円滑性等を考慮すると時速30kmが適当と考えられる。

10.自転車の取扱いについて

Q.18:現在、歩行者と自転車が同一の路面上を共有し、歩行者の安全が阻害される場合もある。また、自転車と車の関係も解りづらい。道路交通法上の自転車の扱いはどのようになっているのか教えてほしい。
A.18:自転車は軽車両であることから、歩車道の区分のある道路では車道通行が原則であり、この場合、道路の左側端に寄って通行しなければならない。道路標識等により普通自転車が歩道を通行することができることとされている場合や、当該自転車の運転者が児童、幼児、70歳以上の者等である場合など、道路交通法第63条の4第1項各号に掲げる場合には、普通自転車は歩道を通行することができる。この場合、歩行者を優先して徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げることとなるときは一時停止しなければならない。また、普通自転車専用通行帯や自転車道が設けられている場合は、その場所を通行しなければならない。

 

 

 

 

 


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