2023年1月に行われた交通工学研究会論文賞・技術賞選考小委員会において、論文賞・技術賞候補が選出され、2023年3月22日開催の第4回理事会において決定いたしました。


第37回交通工学研究会論文賞

高速道路サグ・トンネル部における渋滞発生後捌け交通量の低下メカニズム

 和田 健太郎、邢 健、大口 敬

  交通工学論文集 第8巻 第3号

選考理由

 本研究は、高速道路トンネル・サグ部のCapacity Drop(CD)を対象に、連続体追従理論を適用し、渋滞発生後捌け交通量の低下メカニズムの理論的検証を試み、CDの解明に大きく貢献している。特に道路の幾何構造に起因する緩慢な追従と、渋滞先頭の不明確さに依る緩慢な加速の結果として、捌け交通流率が減少することを示している。これは実現象との整合性の点でも優れた解釈を示したものであり,学術上ならびに実務上有用な研究と高く評価された。ゆえに、本研究は十分論文賞に相応しい論文であると判断した。


第26回交通工学研究会技術賞

東京都区部初の無信号二段階横断歩道の整備

 警視庁交通部交通規制課・板橋区土木部

  機関誌「交通工学」 第57巻4号 報告に掲載

選考理由

 本報告では、東京都区部では初となる無信号二段階横断歩道を関係者の協力のもと整備し、その効果の検証や課題の取りまとめを行っている。社会的には「無信号二段階横断施設導入の手引き」(案)がまとめられ、全国各地でも整備や調査研究が進められている中、高齢化率が高く導入動線として意義のある対象箇所において、道路空間の再配分を行い、歩行者にとって安全な空間を創出している。横断歩行者の視点および自動車の視点からの安全性などを示しているほか、交通流としての課題整理から今後の研究の必要性も示されている。多様な地域にて関連する取組みを導く事例であり、今後の二段階横断施設の整備の展開ならびに知見の蓄積に資することが期待される。ゆえに、十分技術賞に値するものと判断した。