座談会 インターモーダルとITS(No.11)
料金制度と交通結節点


○中村 首都高が均一料金だけれども、ETCを入れたらちゃんと利用距離でチャージできるようになるという話に近い話があって……

○荻野 おっしゃるとおりです。

○中村 運賃のポリシーの側はまたいろいろ別な観点があるから、必ずしも距離でチャージするのがいいかどうかはわからないけれども、多分、その議論というのは、聞いているとほかの乗り物もそうなんだけれども、そういうふうに運賃を収受する手間という話になっちゃうんですよね。
 だから僕は最近コスト側に移っているからよくないんだけど、そういう運賃収受は実は手間がかからない、ある前提のところまで投資して、それがある程度になったときに、運賃収受の技術は実は変わらないんだと。それでちゃんと利用した距離に見合ったコストを払ってくれるようにできますよと、全くETCと同じなんですけれども、パラレルにね。それができることが、鉄道会社としては適正にお客さんにサービスをすることになるとか、そういう議論にはなるはずなんですよね。
 だから、コストダウンという意味は単純な経営という意味じゃなくて、適正な、要するに、もしかしたら余りいいサービスでないのにブン取られているお客さんもいるかもしれない、もしかしたら得している人もいるかもしれない、その差は厳密に言うと不公平なんですよね。その不公平感をなくせるんじゃないか。不公正感をなくすことによって鉄道の平均的な質が上がると思うんですよね。そういうことの意味が1つありますよね。
 それがいろいろな意味の信頼、システムの信頼性とか、あるいは競争的な状況では、何だろう、マーケティング的で、おっしゃった話は、多分、1つは駅にいかに人を集めるか。駅にさえ来てくれればいろいろなことができるということと、交通計画で「駅勢圏」という定義がありますけれども、その駅勢圏というのが、実は通常考える発想とは全然違っているんだと。それは、要するに駅に来ればいろいろあるよという情報を発信するともっといろいろな人が駅に来てくれるという、多少マーケティング的な発想が鉄道事業者にしてもバス事業者にしてもあればいいんじゃないか。
 それから情報に関しては、もうこの時代ですから、例えばバスで言えば、昔はウン百万円だかするでっかいバス停にランプをチカチカやっていたけれども、最近はもうJ-PHONE、 EZweb、iモード3つ並べなきゃいけないんですけどそこにバスの位置情報を出すのもすごく簡単にできるようになって、そういう事業者が増えています。何か知らないうちにボコボコ増えてきています。それは聞くと、やはりコストダウンだそうです。要するに、何百万円ものバス停を市内じゅうにつくるお金を考えたら、みんなが道具を持っているんだから、その道具を使って出す方が安い、そういう発想にどんどん変わってきているなというのは常々思いまして、新しいものをつくるのも要るんだろうけれども、今あるものを使うというのはあるなと思いますね。

○赤羽委員長 そうですね。そこまでは、バス事業者も自分のコストダウンになると、多分やると思います。では、バスと車の情報の接続はどっちがやるか、誰がやるかという話になると、それは難しいと思うんですよね。

○吉開 サードパーティだと思いますよ。

○中村 でも場合によっては、例えば、鉄道の宿敵かもしれませんが高速バスで言うと、そのバス停まで歩いていく人はまずいないわけです。この間、私やりましたけれども、普通はやはり歩かないですよね。だけど、そこに自分たちの駐車場をつくって、実はお宅から何とか自動車道でこう行くよりも、ここでうちのバスに乗ってこう行った方が早いという情報をインターネット上にでも何でも出して、それで駐車場を経営するというメニューはあり得るんですよ。
 だから、必ずしも全部がサードパーティである必要はなくて、バス会社が、さっきの理屈からすれば、自分のバス停に来てくれる顧客は徒歩圏 200m以内なんて馬鹿なことを言わないで、駐車場さえつくればかなり遠くからでも来てくれるという発想で宣伝する。それが今までみたいなやり方じゃなくて、もうインターネットがありいろいろな情報機器があり、しかも顧客の管理ができるとなれば、私、バス会社の中でも高速バスは最初にインターモーダルをやると思いますし、そう仕掛けているんですけどね。通常のバスは無理だろう。
 鉄道は、地方鉄道がやはり駅の駐車場とどうつなぐかが最初かなと思うんですよね。
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