座談会 インターモーダルとITS(No.16)
情報提供とサードパーティ2
○本多 さっき欧州では共通化したリファレンスモデルをつくっていますという話がありましたが、やはり全体を見渡せるリファレンスモデルというのは絶対必要だと思うんです。今、うまく動いていないというのは、鉄道の移動に関するシステムモデルと車の移動に関するシステムモデル、あと航空機もそうですね、みんなばらばらにつくられている。システムがバラバラなものをお互いに関連づけて整合させて、情報のやりとりをするための共通点を、そのリファレンスモデルがうまく表してくれればいいと思うんです。
欧州のトランスモデルの話では、人の乗り換えする点があって、移動する区間があって、それ全体が経路となってというように概念が整理されていますが、車だって基本的に概念は同じなんですよね。そういう非常に概念的なモデルをどこまでうまく共通につくれてきているかというのが、多分、今の日本のアーキテクチャの中で一番弱いところじゃないかなという気がするんです。
○赤羽委員長 それをつくるとしたら、どこがつくるのですか。要するに、鉄道と道路、双方が協調できるような形でリファレンスモデルをつくるというようなことは、どこができるのでしょうか。サイバーレール研究会とITS研究会かな。
○本多 今は、草の根的にやるしかないと思います。いろいろ問題があるとしても、既にアーキテクチャが世に出てしまって、それに沿っていろいろなものをガタガタつくり始めていますから、そういった中で「あれは違うんだよ、こうであるべきだよ」といくら言ったっていまさら動かないですよ。
だから、いまやれるとしたら、これから物をつくる中で、お互いにそういう共通意識を持ちましょうよというのを誰かが音頭をとって、意識合わせをしていくしかないでしょう。
○赤羽委員長 現実化するときに少しずつ軌道修正するとか、少しずつ何かインターモーダルな色をつけて行くなどといった努力の積み重ねなんですかね。
○本多 そういうふうにやるしかないんじゃないかという気がしますね。
○羽藤 僕も今日ここに来るまでは、知識情報化社会のインフラストラクチャーというのはデータだと思っていて、インフラということは国がやるべきだとずっと思っていたんですよ。それは実際、データベースをどういうふうに組み立てるか、オブジェクトベース、リファレンスモデル、システムアーキテクチャということなんですが…。だけど今日聞いていると、データを公開するのは利用者の側でやってしまう。そういう仕組みもあり得るという話でスコシ考えを改めたようなところがあります。
ソフトウェアをつくる過程に、「伽藍とバザール」という有名な言葉があります。伽藍というのは大きなカテドラルをつくる。そのときは明確な設計思想があって、トップダウンでバベルの塔みたいに一気につくっていくわけです。だけど、そのバベルの塔は、神様の逆鱗にふれて、作業をしてる彼らの言葉を変えられたらガラガラと崩れて、ソドムの国の人々は困っちゃうわけですけど…。でもこれと逆にバザールというのは、逆に好き勝手にみんなが店を出してやっている。ソフトウエアを開発するときにどっちの方式がいいんだろう。で。今はバザール方式で、そっちの方が逆に流行るんじゃないか。そういう話なんですね。
もうスコシいうと、それは、リナックスとマイクロソフトの違いで、リナックスはいろいろな開発者がどんどんボランタリーにやってきて、ただ、そのリファレンスモデルがきちんと公開されて、開発者も入りやすい。開発も、サードパーティがどんどんできる。マイクロソフトはクローズドで、結構バグもあったり、重たかったり。そういう話です。
で、我々の分野で考えてみると、データっていうのは、インフラだしプラットホームなんだけど、リファレンスモデルとかオブジェクトモデルとかいうことも含めて、やはり草の根的なものがやるという方が勝つのかもしれない。っていうような感想を今日持ちました。
確かにリファレンスモデルや、システムアーキテクチャをちゃんとしておかないと共有化なんてできないし、サードパーティがどんどんアプリケーションやビジネスモデルをつくっていけるということには絶対ならないんですよね。リナックスが何で成功したかというと、オープンになっているからですよね。そういうふうになっていないとだめなんだけれども、それは別に官じゃなくてもできるんでしょうね。
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