座談会 インターモーダルとITS(No.25)
デジタルデバイドと交通情報


○荻野 北海道の実験で、特に今年の正月から国土交通省の実証実験をやっていて、僕らもある意味でちょっと関係しましてね、見に行ったんですよ。ものすごく立派なんですけど、やっぱりiモードのインターフェースがすごく悪かったんですよね。
 大体iモード自身が使いにくいでしょう、まあ、おじさんだからということは十分あるんですけど、1回1回入れては……。だから、そこまで達するのにえらい時間がかかるんですね。だけどアイデア的にはすごくよく考えてあるんです。今、デスクトップとiモードとのリンクというんですかね、それが必要な気がするんですけど入力はデスクトップでやって、それでiモードでは、例えばその入力を編集するとか、そういうことができればいいんですけど、そうじゃないものですから、やっぱり向こうでああだこうだとおじさんたちがiモードを借りてきて……(笑)。そんな使い方をして調べましたけどね。
 だから、ものすごくアイデアはいいし、あれのすばらしかったのは、もう本当にどこからどこまでとか、全部入っているんですよね。ランドマークがあって、そこまで何分かかりますとか、そういうことも全部入れた案内までやる。とんでもなく立派なものなんですが、ただ、今のところ、ちょっとあれでは使いにくいなという感じだったですね。

○赤羽委員長 Javaが実装されると、そのあたりのインターフェースも自由度が大きくなるんじゃないんですか。

○吉開 そんなことないでしょう。
○赤羽委員長 ないんですか。

○吉開 今おっしゃっているのは、多分、片手での文字操作のレベルのインターフェースだろうと思うんですよね。

○荻野 そういうものも含めてですね。毎回毎回入力して、また次のレベルへ入る。結構いやになります。

○中村 でも、メニュー登録するとできるんですよね。でも、確かにそういう苦情はあったみたいです。あの実験に関しては。

○赤羽委員長 階層が深かったんですか。

○中村 要するに、全部入れようと思うと複雑になっちゃうんですよ、当たり前の話ですけど。

○本多 しようがないですよね、あの小さい画面で全部見せようと思ったら、やっぱり階層深くしないと。

○中村 だけど、それはそれこそセンスがよくて、割とよく変わっていくだろうとは思っているんですよね。というのは、本当に欲しい情報の登録の仕方がもう少し楽になるだけだと思うんですけど。

○羽藤 Javaとおっしゃったのは、多分エージェント型のソフトがあって、好みを学習していって、そうすると自動的に、という話ですよね。

○赤羽委員長 そう、カスタマイズしてね。

○吉開 ご存じですか、iモードが何千万台売れたんだったか忘れたけど、その中でiモードの機能を使った人たちは実は半分ぐらいなんですよ。あとはみんな電話。ただ話す。

○羽藤 だって、みんなiモード持ってるでしょう。

○大口 要するに、比較的早目に買った人は違うんですよ。僕の親などは、買った時期が後だからブラウザフォン機能がついてしまっているのですが、そこで僕が「こうやるんだよ」と言うと「ほぉぉ」と感嘆して納得しながら、「でもやはりわからない」と言います。

○中村 そういう世代がいますよね。

○吉開 一定の年齢以上になると、やっぱり辛いですよね。

○羽藤 それは世代ですよ。死ぬまで待つしかない。

○赤羽委員長 そんなこと言わないでくれよ。(笑)

○羽藤 いや、だってね、システムアーキテクチャの話でもそうですよ。やっぱり僕らよりちょっと上の人はフォートラン文化ですもの。オブジェクト思考と言ってもなかなかわかってもらいえません。これもオフレコかもしれないけど。(笑)

○赤羽委員長 え、私はJavaやったよ。

○羽藤 あなたは特別な人。(笑)ほとんどの人は「オブジェクトって何」っていう世界です。ちゃんと定義してオープンリソースにして、一般の人も参加してつくって拡張されてく。そんなの直観的に全然理解できないんです。やっぱりそれは世代だと思います。
 多分、若い人でiモードが当たり前になっちゃうと、次にはその上に,また全然違うものが出てくるんです。今の二十歳ぐらいの子はiモードで育っているから、その新しいものが出てきたら、ひょっとしたら受け入れられないかもしれない。そういうのはあると思う。僕らぐらいだとファミコン世代ですけど。やっぱりそれは世代だと思う。だけど、少なくともインフラとか我々みたいなことをやっているような人間は、やっぱりもうちょっと先を見ないといけないから、あれこれ知っておかないと困ります。

○吉開 エージェント機能は残ると思うし、ただ、僕、端末は、先生がおっしゃったようにどんどん変わっていくと思いますよ。ただ、インターネットという社会インフラと、それからマイクロプロセッサがどんなところにも入りまくるという、これは多分、当分変わらないんじゃないかと思うんですよね。

○本多 現に、携帯にメモリカードが付きましたよね。これを使って情報家電とやりとりしようとか、今日、冒頭にあったブルートゥース使って、車に乗ったら車とこれがかってに通信してというようなことを車屋さんは考えているようです。

○本多 でも、そういうことになったとき、さっき言われたプライバシーの問題とかがでてきます。これらをうまく処理するためにはアーキテクチャのモデルの中で、プライバシーにかかわるデータには一体どんなものがあって、情報を集める側がそれを扱うときにはこういう注意が必要だよということが示されて、これを考慮した情報の整理の仕方が必要になるだろうと思うんです。
 それで、またさっきのモデルに戻っちゃうんですけれども、プライバシーみたいな共通性のある問題をうまく簡単に抽出できるようなモデルのつくり方というのが、さっき言われましたセンスだと思うんです。それは個々のサービスに合っている、合っていないじゃなくて、多分どんなサービスを持ってきても共通にかかわるレベルを表しているんだと思います。それをうまくモデル化できるかどうかがセンスなんでしょう。それをちゃんとやっていないというのが現状なんです。
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