by Takashi Akamatsu Date Fri, 02 Apr 1999 23:53:42
赤松です.
羽藤さん,森川さんのメールで "不確実性"(*1) の減少が,利用
者便益として価値が有るのか,あるいは,その計測法等の面白い
議論がありましたが...(*システム*の効果を測定するために
は,システムの状態が記述できなくては話が始まらないという点
において)それ以前の問題として,"混雑情報"の提供が "不確実
性" を本当に減少させうるのだろうか? かえって "不確実性"を
増大させるという事態がおおいにありえるのでは?という疑念を
お持ちの方も多いと思います(*2)
現状のシステムの提供情報は,予測値ではなく,あくまでも,そ
の情報が提供される時点での現在(or過去)の状況値ですよね?
そうすると,素朴に考える限り,ある1人の個人を考えた場合(*3),
もし情報に反応する多数の他人の挙動が予測不可能なら,彼に
とって可能な将来のシナリオ数は指数関数的に増え, 彼の"不確
実性" は, 情報提供前よりも,さらに増えるのは,ほぼ自明です.
そう考えると, いろいろと先に議論・整理しておきたくなること
がいろいろと思い浮かんできます(*4). 例えば, "混雑情報"を
提供すると,利用者はどう行動するのか? それは予測可能か?
仮に利用者行動が(ある程度)予測可能と考えた場合,その結果
として,道路ネットワーク・システム全体として何が起こるのか?
また,個々の利用者行動(原理)はある程度つかめても,システム
のマクロな挙動は,ほとんど予測不可能という事態は起こり得な
いのか? そのようなことがあるとしたら,どのような場合か?
また,上記の様な場合や利用者行動が予測不可能な場合, "混雑
情報"の提供が "不確実性" を本当に減少させうるか? 逆に,不
確実性を減少させうるのはどの様な状況か?
etc. etc. etc.
とっ......これ以上思いつくままに書いていると,機関銃
のようにキーボードが速く打てるわけでもないにも関わらず,浅
はかなことを言ってしまいそうなので, あとは大家の森川さんに
おまかせして(もし,この messageが "そもそも論" っぽくて,
他の方が意見を出しにくいものになってしまっていたら,ごめん
なさい)今回は, このあたりで書くのを止めておきます.
(*1) ここでは,"リスク"と"不確実性"の区別とか面倒なことは
とりあえず,おいといて,実際の所要時間の確率分布は既知と
して,その(客観的)分散の大きさくらいの意味.
(*2) この"慣らし運転パネリスト" の方々であれば,情報提供に
よる "混雑緩和"効果についても,一般的には, 全く同様の疑念が
あることは言うまでもないと思いますが,どちらも根は同じです.
(*3) 1万人の道路利用者のうち,1人だけが提供情報の利用者なら,
利用者個々の干渉による"外部性"がないため,話は簡単ですが...
(*4) 問題が正確に定義されておらず,非常に漠然とした一般的
疑問になっていてすみません.今後,このforumで状況等を特定し
たspecificな議論に発展すれば面白いと思います.