by Takashi Akamatsu Date: Mon, 12 Apr 1999 14:37:53
赤松@豊橋技術科学大学です.いつのまにか外は"嵐"で,大学から帰れなくなってしまいました...
赤羽さんの意見の前半部は,民間企業が情報を提供する場合を想定 れば "同感" の部分があります. それから,"予約"の利用も重要
だと思います. 赤羽さん等が以前から提案されている "道路利用の予約制" も,うまいシステム・デザインが実現できれば(道路シス
テム全体と個人レベルの厚生状態の改善が両立できる)非常に良いアイディアになると思います.
でも,以下のパラグラフ:
>もうひとつ,上記のような個々人の交通を含む各種行動の最適化が,(交通)システム全体としては必ずしも最良とはならなくとも,構わ
ないという考え方はないでしょうか? 現実は,そうなっているのではないでしょうか?そして両者の乖離が許容限度を超えないように, 政策的にバランスをとっているのではないでしょうか?
については,私は,全面的には,同意できません(以下,もしかすると,あげ足とりっぽく聞こえるかもしれません(*1)が,ご勘弁を).
もちろん,システム全体として"最良"の状態は,現実に達成できる わけもありません.が,少なくとも,個々人の最適化レベルのこと
(*2)しか想定しなかった結果,システム状態としては "改悪" となってしまったという事態を(それが予想できるなら)避けるための
方法は考えておくべきではないでしょうか?(*3)
現実にも, (個人レベルの最適化とシステムレベルの最適化の間の) 両者の乖離が許容限度を超えつつあるから,世界的にも,混雑料金 をはじめとする(ITS
技術の応用を含む)交通管理施策が真剣に検 討されはじめているわけですし...
また,(ちょっと論点がそれてしまう例かもしれませんが)例えば,交通安全・都市計画の観点からは,細街路へは通過交通を侵入させるべきではないことを考慮すると,(個人レベルでは)どんなに細
街路利用ルートが効率的であっても,(道路システム及びそれに関 連するシステム全体の観点からは)その情報は提供すべきではないという議論も考えられます.
そういうわけで,情報提供に関しても,個々人の行動のみに完全にまかせておきシステム全体の問題は関知しない(&システム全体に 関わる何らかの施策は行わない)というのは,私には?です.
でも,まあ,情報提供システムの道路システムへ全体への影響となると,現状では "わからない" ことがあまりに多いので,
"これは 確実に言える" という例を増やしながら,簡単なところから,ボチ ボチと "仕分け" ができれば良いと思います.
(*1) 赤羽さんは, "委員長"という立場上,議論活発化のために(小 難しく考えずに簡単なところから気軽に意見を交換する雰囲気を作る,
あるいは,フッカケ意見という意図で)書かれたのだと思いますが...
(*2) 現状だけを考えるなら,情報利用者の数,提供情報の量・質がたかが知れているので,"外部性"の問題まで考える必要はないとは
思います(でも,ナビゲーション・システムの台数がいつのまにか 400万台にもなっているのは驚きです).あくまでも長期的問題として.
(*3) これは,粗っぽく言えば,個人と市場に任せておけばよいので,道路システム管理者や研究者がわざわざ口出し・議論する必要が無い(*4).
(*4)もちろん,研究者が,このレベルのことについて研究したり, アイディアを提供することは,民間企業活動のサポート(を通じて, 市場原理の貫徹を効率化する)という意味で価値はあると思います.
が,少なくとも,個々人の"感性"レベルのことに"政府/官"が口出しする必要はないと思います(例えば,
国や県が ITS事業推進の名目の(あたかも,官がそれを行うかとも読めるような)重要項目として,このレベルのことを大々的に挙げるのはオカシイ).
>赤羽@委員長です.
自宅で風呂上がりに書いています.森川さんお薦めのごとく,職場より自宅の方が皆
>さんの見解をじっくり吟味できそうです.
>...
>書きあがったら,夜中になっていました.お休みなさい.
>以上
これまでの議論の継続的なメイルとなってませんがご容赦下さい。
以上