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20 ローカル情報こそが美味しい
○倉沢 1つのヒントとして,「北の道ナビ」というインターネットサイトは第一義的には北海道民のためのものなのですが,当然他の地方の人にも見てもらう意図もあります.ある峠での夜中に30分に1枚表示されるカメラ映像は,それはそれで馬鹿馬鹿しくも面白いのです.つまり地元の人だけに役立てばよいのではなくて,もっと発想を広げた方がいい.東京の地域情報誌「Tokyo Walker」を大阪の人が読んでも面白いように,地域情報をほかの地域の人にも発信する.地域の情報収集発信の団体ができたら,お互い情報を交換,売り買いすればいいように思います.
例えば,東海地区のケーブルテレビに北陸の情報を流せば,東海地区の人は北陸へ旅行に行くでしょうからこれはこれで意味があります.人によっては名古屋の情報ではなくて乗鞍の情報を知りたいことがあることを,メディアとしてしっかり対応することは割とうまい方法ではないかと思います.
○森川 ゼンリンは北九州の会社なのですが,北九州に関するさまざまなタウン情報を携帯端末に流して情報提供をしています.ただしこれに交通情報まで入っているかどうかは知りません.また伊豆地域で
も,PHSの位置情報注(27)を活用した観光情報の提供をしているようです.
○中島 ホームページが普及しているのは,利用者のニーズや特性に合わせてどんどん検索して選ぶことができるからです.ITSもホームページのように考えると,例えば「サライ」的な人は,時間がかかってもいいからのんびりしたい,どこに商店街があるか,地元の名産品が買えるか,などを検索して調べるでしょう.一方別のタイプの人は,とにかく早く目的地に行きたい,といったいろいろなニーズがあって,それはかなりホームページの検索のステージと近いと思います.
○赤羽 例えば伊豆地域で観光情報などを流すならば,それと東名高速道路の上り線の渋滞のピークの時間帯を外すような情報を組合せることも考えられます.伊豆から東京方面に帰ろうとして,ある時間帯に厚木インターから東名高速に乗れば渋滞に掴まることを伊豆で情報として流して,渋滞を避けるために例えば「レイト・チェックアウト」というシステムがあることを宣伝する.それで少しだけ帰宅時間帯を遅らせれば,何か楽しいことがあるような情報と道路公団の渋滞予測情報とをリンクさせる.そうすれば,道路利用者の受け止め方も,渋滞を軽減させるために少し遅らせるのではなくて,何か面白そうなことがあるから遅らせた,ということになるかもしれない.それが,「デルファイ式交通情報提供」を無理なく世の中に受け入れてもらえる1つの方向ではないかと思っています.
○森川 ゴルフ場で4時に出ると4時間も時間がかかって大変ですよ,と教えてもらえるといいですね(笑).
○中島 ローカルな地域でも情報が無いわけではないのですが,今は各地にばらばらに点で存在しているだけです.そうしたローカル情報を集積するといいわけですね.
○倉沢 理想論ではそれを統合する考え方になると思います.でもまずは交換する仕組みを始めるべきなのです.まずはビデオカセットとか音声の素材とかアナログでいいですから,これを取り交わすような仕組みがあればいい.先ほどご紹介したタウン情報の全国ネットワークは株式会社なのですが,ここはナショナル・スポンサーの広告を全国の地方のタウン誌に提供する,加盟誌全社の東京支社広告営業部,という位置づけの会社です.
○中島 タウン情報誌を全国規模でネットワークにするが,情報そのものはばらばらで存在する.
○倉沢 既にノウハウをある程度共有する勉強会のようなものを東京で開催し,ナショナル・スポンサーをとってきて,数局に配信することもやっています.そこで広告の原稿を送るのはどうしているのかをお尋ねしたら,いやMOの郵送です,と言っていました(笑).
○中島 まだアナログなんですね(笑).
○倉沢 一方で,現在協議会として単に存在している全国FMコミュニティー協議会は,そういう広告のやりとりはしてませんが,独自にサイトを立ち上げて双方でネット配信をしようとしています.結局これが実際に実施されたかどうかは知りません.本当に情報の交換が必要なローカル放送の分野の方がやってなくて,広告に特化しているタウン情報誌の方がそういうネットワークを持っている.だから必要性よりも,まずは情報交換をするきちんとした人的つながりができていることが重要だと思います.
○中島 やはりローカル情報の応用というのが手っ取り早くていいでしょう.ものすごくマンパワーが要ることを,彼らはルーティンワークでやりながら,それでいて結構深い情報を持っています.毎号ローカル情報を集めて提供しているわけです.タウン誌の情報をうまくネットワーク化すると,地域外から来た人にもとても役に立つでしょう.
BBS投稿コーナー
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