第1回iTS研究委員会議事録
(29.Oct.Wendesday,1997,18:00〜20:30)

A; ITSの整理,検討,把握をこの場でやるのか.様々な組織または機会でITSに関する検討が行われているが,同様のまとめ方にならないようにしなければならないだろうと考える.

B; 交通工学の問題,課題から掘り起こしたい.seedsから進めると他と同様の議論になってしまうだろう.Needsを基本とするように,発想を転換することが必要と考える.

B; 例えば,信号や可変情報板の設置に際しては交通工学の専門家だけで議論できた.しかしVICSなどは一般の利用者も含めた議論が必要である.この両者は社会的に意味が大きく異なると考えられる.

D; ITSを含む分野では領域が広がっている.学会の分野が広がっていると考えても良い.しかし,交通工学の研究者が何をやっているのかが,外側からは具体的に見えてこないというのが実感だ.この場で研究者の体勢についても議論してはどうか.

B; どうやらイメージとして下流側が交通工学,上流側がメーカーを含めたseeds(ハード)側と捉えることができそうだ.

D; ITS全体を評価するシステム,また上流と下流の間のフィードバックという点で議論が必要と考える.

B; ITSは,例えば信号制御技術が萌芽期の時代の電気vs.交通工学の関わりとどう違うのだろうか.

F; ITSが実際に何に役立つのか見えてこない.先日,ITSに関して物を書く機会を得たとき資料を漁っていたら,ITS不要論という論文を目にした.基本的に市場に任せておけばいいのではないかということだ.

B; 利潤ということで言えば,市場原理が働くということが評価として重要ではないか.

A; ITSとは交通工学の一延長線上にあると考えられる.KeywordとしてITSはわかりやすい,理解しやすい.便利とも言える.例えばITS=Car Naviなど. Car Naviなどをやっていなくて交通管制と関係ない部署の人達は,ITSを通してInfrastructureが理解できるようになったのではないか.テクニカルなところよりも利用という側面での議論が必要だ.

B; テクニカルな分野でもまだできる,適用できる分野があるのではないか.例えはETC etc.

F; ここで確認しておきたいが,下流側をSoft,上流側をHardと判断しても良いのか.

B; そう捉えてもらって差し支えない.

E; needsでまとめてきた目的,根拠が良く理解できない.

F; 自動車を取り巻く環境はこれからも進展するだろうと考えている.そうなるとITSは絶対必要となるであろうと考える.しかし,費用便益を考慮しなければならない側面もある.そう考えると果たして本当に公の立場で整備が必要かどうか疑問だ.

E; ITSはマルチメディアということで,その方向でごちょごちょやっていて,交通工学的に何が必要か,あるいは何が欠如しているかが見えてこない.

B; そういう点でいうと上流側も見えてこない.ITSには例えば広義にデータベースや通信といったものも含まれると思うが,端末しか見えてこない.どうなっているのか知りたい.

E; 現在は制約が多いが事故データやOD交通量等のデータの蓄積という点でITSは重要かもしれない.ITSは個々のデータのリンク,一元管理という点で役立ちそうだ.

B; 同感だ.例えば,東名高速+首都高速+東北道という路線の個々の道路情報のマッチングができたら非常に利用者にとって有効だ.

E; やはり情報のマッチングは重要だ.

B; 但し,その情報のマッチングには個々の情報の価値が非常に重要になると考えられる.

B; 安全という側面で他の視点がありそうだがどうか.

D; 追従(車間距離)という点で安全という視点がありそうに思う.また,交通情報のProvider(交通情報Serviceの質,量)という視点で工学的に費用便益という視点があるかもしれない.

B; BeaconでなくてCellular Phoneを媒体とすると,情報の質という点で市場原理が働く.情報の収集も含めて市場原理が働くということが考えられる.

D; 情報とHardに付加される検索機能という点でも市場原理が働く.

B; Beaconだと市場原理は働かない.

F; 本当に官がITSの整備に関わる必要があるのかという点が問題だ.市場原理に任せていけばいいのではないかという議論が成り立つ.先ほどのITS不要論に結びつく.

B; Beaconだと整備に費用がかかる.Cellular Phoneを媒体にしたほうが安く済む.

B; 鶏と卵の議論(seedsの整備 vs. needs)になりがちだ.時代の流れでその辺は変化するということだろうか.

B; 予約制度とITSとのリンクという点で,ITSは道具建てとして重要な位置を占めると考えられる.また,安全という面でもITSは役立つ.

A; 事故(安全)の評価は重要な問題だ.

B; ETC+保険(事故)との絡みという面でも議論ができそうだ.

F; Road Pricingも,その評価(便益)という点で同様の議論ができそうだ.

A; 道路整備との絡みという側面でも議論が必要ではないか.

D; 情報の便益(価値)という点で言えば,便益の計測が非常に重要で,その点でITSは格好の材料となる.例えばPL責任法との絡みとかで.

B; どうやら情報の価値付けとインターフェースとの対応が必要のような気がする.鶏と卵の議論も含めて.

(第1回了)




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