第5回ITS研究委員会議事録
(13.Apr.Monday, 1998, 18:00〜20:30)

● 言葉の定義と議論の方向

A; オンライン情報は実時間情報のこと、オフライン情報は蓄積情報を示す。

これらの情報(データ)の交通工学的な利用方法とデータ構造のシステムアーキテクチャを提案し、交通工学以外の分野モ含めて、情報のアイテム,流れ,利用方法について様々な観点から議論をしたい.

● ITSオフライン情報について

B; 次の5段階に情報利用プロセスを分離して考えてみる.
  1. 得られる生情報,
  2. 交通工学上の1次加工情報,
  3. データ分析手法,
  4. アウトプット,
  5. 交通政策

■ 得られる生情報について、「得られたデータを何に使うのか?」という議論

B; データが高精度で多量に入ってきただけで適合度の高いモデルが本当にできるとは思えない、実際には何か別のアプローチが必要だろう.たとえば、「車を公共交通へ,いかに転換させるか」といったテーマではデータだけ精度が上がっても、転換する構造がわかっていないとモデルを作るのは無理.

C; データ利用の目的は次の3つが考えられる。

  1. 原理の解明,
  2. 行動モデルのパラメータ推定,
  3. シミュレーション等の解析

以上が,交通工学側からみた期待ということになると思う。

■ 今後の課題

B; ITSからでてくる情報とそれ以外の情報のマッチングをどのように行うかが問題と思う。たとえば、駐車場利用と天候との関係,トリップデータと社会活動データとをマッチングさせる必要がある.

D; 他にも、環境や騒音,公共交通など他データとのリンクを別途考える必要がある.

A; これだけリッチなデータを本当に分析しきれるだろうか、分析手法をより具体的にブレイクダウンする必要もある.まず、先の5段階の関連を表す大枠をつくることが必要だ.

● ITSオンライン情報について(Incident情報の利用を例に)

■ 事故原票の問題

E; まず、事故の情報をいかにして効率的に蓄積していくかが重要である.

次に、使い勝手をよくしていくかが問題となる。たとえば、GISとリンクさせるという方法も考えられる.

F; データベースの構造をどうするかも重要な課題である.

G; Incidentをいかにディテクトするかという点では、事故の情報のオンライン化につながる。

A; 事故発生により交通がどの程度の影響を受けたかも重要.これを診断するシステムにこれらのIncident情報が使える.

F; 流入制御,信号制御,経路誘導へも活用できる.

C; 米国では,救急車にビデオカメラをつけて病院に転送し、医者が損傷の判断材料としている.

■ 交通管制における情報の実時間利用

A; 新しい情報がとれるとなにがどう変わるかいうのが示すことが必要だ.

D; 今まで、時々刻々のランプの交通流や分岐率は外挿でやっていた.ここの部分は実時間で得られるようになる.

A; 時間帯で流入制御,信号制御などは変えられるようになるだろうか

G; 現状では大きなイベントでしか変えていない.

F; ODがわかれば,時間帯で制御できるのではないだろうか

G; パラメータを自動設定するか、状況に応じて変更しやすくするのいずれかの方法をとることになると思う.

B; 少なくとも入力情報が増えれば,モデルの適合度が上がるはず.

■ 高速道路予約制における情報の流れ

B; SPとRPの反応の違いはどうなるだろうか.

C; ある時点で予約がいっぱいだったけど、その後、すっぽかしが多くて空きができたなど、予約の事後状況の判断データを蓄積していく必要があるが、これらをリアルタイムに生かしていくにはどうすればいいかが問題.

(第5回了)




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