●ITSを利用した交通データの収集について
−とくにサンプリングとバイアスの問題に関して−
A:現在のPT調査では抽出率が3%程度である。これがITS利用によってより質の高
いデータになれば,例えば0.3%になっても大丈夫なのか。
B:ITS利用でも個人情報が得られればBetterだろう。
C:PHSの利用で個人情報の取得はある程度可能ではないかと考えられる。
A:しかし,PHSを持つ者と持たざる者のバイアスが出て来る。また,トリップの目
的地で「何を行ったのか」というトリップ目的がとりにくいという問題は依然として
存在する。
D:ODの施設や経路はわかる。これらの情報から新たなModelを作成することは可
能ではないかと考えられる。
●ITSの利用と公共交通機関の労務管理上の課題について
A:物流会社では,労務管理を台帳管理からIC-Cardに変更することによって管理の
パフォーマンスが向上したらしい。
B:労務管理上のネックは労働組合である場合が多々あるようだ。
C:物流に関してはある程度競争原理が働くが,バス事業ではそれがない。
D:事業のB/Cが明確に認識されているかどうかが問題となるのではないか。
B:バス事業では補助金制度があるので,B/Cが問題とされるかどうか疑問だ。
●公共交通機関の利用者情報の取得と課題に関して
A:公共交通機関の利用者の行動データや利用者情報の取得は可能か?
B:公共交通機関をMass Transitと捉えるか,個人の集合体として捉えるかによって
かなり変わるのではないか。
C:例えば料金加算区間と単一料金区間の利用情報の取得はどう違うのか。異なる交
通機関を乗り継ぐ場合にはどうなるのか。
D:米国における消費者の購買行動の調査では,個々の商品情報だけでなく購入店の
情報などがバーコードになっていて,これを家庭に置かれたバーコードリーダーで全
て読み取ることによって,店や地域にとらわれない商品別の消費行動情報が入手でき
るようになっている。このようなシステムを交通機関に適用できないものか。例え
ば, IC-CardとそのReaderを貸し出して,家庭で1日の行動をスキャンすることで個々
人の 交通行動パターンを入手するようなシステムである。
●交通情報の市場形成の可能性とITSに対するB/C評価
A:交通情報の市場が独立した市場として成立するのかどうか問題となる。
B:「官」+「民」の市場が形成できるか? 例えば,交通流を予測し利用者へ提供
するときに法的なものがネックになる可能性がある。
C:気象予報士の場合はどうなのか,交通予測との違いはどこにあるのだろう。
D:予測のための基礎情報やデータベースが確立されているどうかが問題なのではな
いか。
E:交通の予測の場合,予測情報が乱立する可能性がある。この点で気象予報とは同
様に考えられないのではないか。
F:情報が行き渡ることによる利用者の便益という観点から考えると,天気予報と競
馬予測は対照的な位置付けができる。交通市場はこの中間的な位置づけではないか。
G:時間軸で捉える必要があるのかもしれない。予測の精度や信頼性という点から考
えると,時間のタームが重要になる。
B:現時点で交通情報は,ある目的達成に必要な種々の情報のひとつのアイテムにな
る可能性が高い。例えば,雑誌「ピア」のような情報メディアに他情報と同列に提供
されるような形態が考えられる。
(第7回了)